福島県 いわき市 御斎所鉱山の鉱物
御斎所鉱山は、福島県 いわき市 皿外に位置する変成層状マンガン鉱床の鉱山で、その鉱山跡は鮫川沿いにあり、増水時には注意が必要だが、柿の沢変電所を目印に鮫川沿いを20分程歩くと、鉱山跡のある沢の入り口に到着する。この鉱山は、御斎所変成岩中のブラウン鉱、テフロ石、バラ輝石を主要鉱石とし、採掘されていた。日本産新鉱物の南部石や、ここが原産地の磐城鉱、その他、稀産の砒酸塩鉱物が採集できるため、多くの鉱物マニアが訪れている。
Nambulite : 南部石
Nambulite : 南部石
66mm x 38mm x 31mm
左側のもの...43mm x 26mm x 14mm
日本産新鉱物で、リチウム、ナトリウムを含む、マンガン珪酸塩鉱物の南部石。ばら輝石と同様に、二方向に完全な劈開があるが、特徴的な橙色をしている。 左の標本とともに、2007年の採集品。同行者のT氏が、上流付近の斜面から掘り出したもの。二酸化マンガンの黒色皮膜に被われた、人頭大の塊を割ると、内部は全て南部石だった。
Manganberzeliite : マンガンベルツェリウス石
Manganberzeliite : マンガンベルツェリウス石
46mm x 37mm x 35mm
画像幅←35mm→
Ca,Na,Mn,Mgの砒酸塩鉱物、マンガンベルツェリウス石。微小な黄色い結晶で、ばら輝石中から産出する稀産鉱物。 特徴的な黄色の微結晶で、比較的分かりやすい。時に、アーセニオプレイ石など、他の稀産鉱物を共なって産出する事もある。
Iwakiite : 磐城鉱
Iwakiite : 磐城鉱
64mm x 56mm x 30mm
画像幅←42mm→
ここが原産地の日本産新鉱物、磐城鉱。ばら輝石中に脈となって産出するもの。ヤコブス鉱と同質異像の鉱物で、強い磁性がある。 ヤコブス鉱は石英とは共存しないが、磐城鉱は共存する事があるため、石英の存在と磁性が鑑定の目安になる。やや緑色を帯びた灰黒色であるのも特徴の一つといえる。
Iwakiite : 磐城鉱
Iwakiite : 磐城鉱
45mm x 38m x 28mm
45mm x 38m x 28mm
こちらはブラウン鉱中の磐城鉱。全体がブラウン鉱で、ヤコブス鉱との区別が難しいが、部分的に石英、ばら輝石を共なうことから、磐城鉱と判断できる。 標本の大部分がブラウン鉱だが、真ん中の上から下に走る、やや質感の違う、緑色味を帯びた脈部分が磐城鉱。
Helvine (Helvite) : ヘルヴィン(ヘルヴァイト)
Helvine (Helvite) : ヘルヴィン(ヘルヴァイト)
27mm x 25m x 21mm
画像幅←8mm→
ばら輝石中に埋没して産出する、マンガンとベリリウムの珪酸塩鉱物、ヘルヴィン。2mm程の鮮緑色の結晶。 鈴木石とも思える程、大変鮮やかなエメラルドグリーンのヘルヴィン。
Copper: 自然銅
Copper: 自然銅
←48mm→
画像幅←30mm→
ばら輝石中から自然銅も産出する。
樹形状結晶の集合体で産出。
Rhodonite: ばら輝石
Rhodonite: ばら輝石
37mm x 35m x 15mm
42mm x 37m x 29mm
石英中に埋没した、結晶質のばら輝石。
石英中に埋没した結晶質のばら輝石。一部には結晶面も見られる。
Ganophyllite with Nambulite
Ganophyllite with Nambulite
ガノフィル石:南部石
ガノフィル石:南部石
60mm x 53m x 32mm
画像幅←10mm→
K,Na,Ca,Si,Alに水酸基を加えた、特殊な組成のマンガン鉱物、ガノフィル石。標本中央部に、光輝の強い、板状結晶がいくつか確認できる。南部石を共なって産出。 画像右側の黄色みを帯びた、光輝の強い板状結晶がガノフィル石。左側のオレンジ色のものは南部石。左の標本中央部の拡大写真。
Arseniopleiite with Manganberzeliite
Arseniopleiite with Manganberzeliite
アーセニオプレイ石:マンガンベルツェリウス石
アーセニオプレイ石:マンガンベルツェリウス石
38mm x 27m x 20mm
画像幅←22mm→
Na,Ca,Mn,Mgの砒酸塩鉱物、アーセニオプレイ石とマンガンベルツェリウス石の共存した標本、 写真では良く確認できないが、右側の矢印部分にある、赤褐色の微小な粒が、アーセニオプレイ石。左矢印の黄色い部分はマンガンベルツェリウス石。
Arseniopleiite : アーセニオプレイ石
Manganberzeliite : マンガンベルツェリウス石
上の標本の右側矢印部分(x20)
上の標本の左側矢印部分(x20)
赤褐色の微小な粒状結晶。
やや透明度のある、ガラス光沢のマンガンベルツェリウス石。
Langbanite : ロングバン石
Langbanite : ロングバン石
41mm x 37m x 26mm
画像幅←30mm→
マンガンと鉄にアンチモニーを含んだ稀産の珪酸塩鉱物、ロングバン石。ばら輝石を共なうブラウン鉱など、比較的高品位な鉱石中に産出する。 劈開の著しい灰黒色の結晶が、ばら輝石部分に確認できる。黒色の二酸化マンガン鉱と混同し、見落としてしまう事もあるが、強い光沢が特徴的でもある。
Villyaellenite : ビリヤエレン石
Villyaellenite : ビリヤエレン石
←8mm→
画像幅←6mm→
マンガンとカルシウムの含水砒酸塩鉱物、ビリヤエレン石。
淡桃色の微小な結晶が、ばら輝石を共なう母岩の割れ目に張り付いている。
Brandtite : ブランド石
Brandtite : ブランド石
←28mm→
←28mm→
Ca、Mn、Mgの砒酸塩鉱物、ブランド石。
淡いベージュ色の皮膜で産出。
Spessartine : 満礬ザクロ石
Spessartine : 満礬ザクロ石
68mm x 58m x 38mm
画像幅←42mm→
ブラウン鉱を共なうばら輝石中に、黄褐色の粒状集合体で産出するが、自形結晶は見られない。 ばら輝石を共なう鉱石中に普通に見られるが、同様の色合いを持つ、チロディ閃石もある。チロディ閃石は針状結晶で産出する。
As-Apatite : 含砒素燐灰石(ばら輝石中/赤丸部分)
As-Apatite : 含砒素燐灰石(ばら輝石中/赤丸部分)
49mm x 40m x 17mm
画像幅←22mm→
肉眼的なものではないが、ばら輝石中に混在している含砒素燐灰石。赤丸部分に濃集しており、紫外線を照射すると蛍光を発する。 紫外線を照射すると、赤丸部分が蛍光する。この部分からは、砒素を含んだ燐灰石のデータが得られた。